不確かな果実

音楽と脳について研究しています。なぜ我々は音楽に感動するのか。

大学院留学奨学金備忘録

大学院留学奨学金にいくつか申し込んでいたのですが、その結果が返ってきました。ネットに体験談が結構少なかったので、ブログにまとめようと思います。これから留学を目指す同志の手助けになれればこれ以上に幸せはありません。

あと、n=1の個人的な経験なので語尾に「知らんけど」が付いてると思って読んでください。草稿の段階では知らんけどだらけな文章だったのですが、流石にくどかったので省略してあります。

留学しようと思った理由や志望校の絞り込み、モチベーションはまた別の記事に書こうと思います。

選定基準・応募した奨学金

まず、XPLANEさんの記事を参考に、申請可能な奨学金をリストアップしました。ありがとうございます、本当に助かりました。ここでは金額とか特に気にせず、資格があるやつだけを絞り込みました。

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その後、①月額20万円以上②複数年支給などを元に優先順位の高い8つに絞り込みました。江副は志望校が大学ランキング対象外だったので外し、経団連は経済人文系のテーマが多く勝率が低そうだったので外しました。本当はもっと併願するべきなんでしょうが(村田とか伊藤とか)、自分は合格よりも精神衛生と研究の可処分時間を重視していたため、好条件なものだけに絞り込みました(ここら辺はまた後日書きます)。

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結果

採択順、敬称略

  • 中島記念:合格
  • 吉田育英会:合格(辞退)
  • 船井:書類合格・面接落ち
  • 平和中島:書類選考辞退
  • 石井・石橋基金:合格
  • JASSO:書類合格・結果待ち

辞退したものとそうでないものが混じっているのは、採択額や併給条件などによるものです。

所感

中島記念国際交流財団

まず、書類は結構スタンダードでした。研究計画・留学の必要性・留学後の進路を2ページほどにまとめ、加えて研究業績などを書きます。情報と生命どちらの分野で出そうか迷ったのですが、過去に数件脳関連の課題が生命で採択されていたので、そちらで出すことにしました(参考)。大学名もアイビー・パブリックアイビークラスが多かったものの、絶対そのランクである必要性はなさそうでした。

書類合格が一番最初に来たのは中島記念だったので、心の余裕に繋がりました。この書類通過時点での倍率が5倍、面接では2倍ほどらしいのですが(参考)、留学は志す人は周囲でも優秀な人が多かったので、自分が選ばれたという事実がとても嬉しかったです。

面接ですが、珍しくオンサイトで行われました。赤坂のでっけぇホテルが会場だったのですが、n年ぶりのスーツで挑みました。受付の方が緊張しなくて大丈夫ですよ、という主旨の言葉をかけてくださったので嬉しかったです。待合として使われていた廊下では、研究室同期?と思われる二人が言葉を交わしていたので「ええなぁ~~~」と思いながら会話に入ろうか悩んでいました。断念しました。自分の名前が呼ばれて部屋に入ると、威厳のある方々が4人ずらっと並ばれていて否応なしに背筋が伸びてしまいました。この時坂本に電流走るー、というほどではないですが普通に緊張しました。受付の方、せっかくの言葉をすみません。

肝心の面接ですが、自分の研究テーマについて話したあと、それについていくつかの質問をされました。自分の研究がどう世の中の役に立つのか、聴覚刺激じゃなくて視覚刺激じゃダメなのか、などです。圧迫面接って感じは全くないですが、想定外の角度からのアカデミックに厳しい質問が多くあり、「自分の研究を自分の言葉でちゃんと説明できるか?」というあたりを問われていた気がします。特に自分のテーマは結構突飛というか色物に見られかねないので、「独創的な研究だねぇ」という目で見られながら質問をされた気がします。そのあたりも、いかに自分の研究に説得力を持たせるかというのが見られていた気がします。結局終わった時には「上手く答えられたかなぁ、、、焦ってたかなぁ、、、」となり、そんなに手応えは無かったです。

あと、面接前に会場近くのアジア居酒屋がランチ営業をしてたので、井之頭五郎の如くフラッと直観で入ったのですがその時のパッタイがとても美味しかったです。パッタイは裏切らない。

吉田育英会

書類ですが、現在の研究と留学先での研究を繋げて書く点が特徴的でした。結構そこが大変でしたが、あとはスタンダードでした。一旦大学に提出してから学内推薦を受ける形でしたが、そもそもここで旧帝クラス+早慶くらいのフィルタを受けます(参考)。一応個人応募の枠もあり、過去に熊本大や自治医科大の方が採択されているようです。

面接ですが、5人の方々と共にとてもフレンドリーな空気で始まりました。緊張してますか?と聞かれたので、緊張してます!と答えました。笑ってくれて良かったです。あと、形式としては8分のプレゼンテーション+22分の質疑だったのですが、これがとても大きくて、ある程度自分の世界観に持ち込みながらやりたいことを伝えることができました。下にも書きますが、学部→修士→博士→志望動機をなるべくシームレスに繋げることを大事にしてきたので、ここが活かせたのは超ビッグポイントです。質疑では、発表の中で気になったことや社会への貢献などについて問われました。ある程度大きいビジョンを準備していればそんなに厳しい内容ではなかったと思います。書類、面接での倍率は分かりませんが、他財団同様それなりに厳しいと思います。

あとこれはやって良かったのかは分かりませんが(ダメとは言われてない)、自己紹介の間に面接官の先生方のお名前をググって、質疑の際に言葉選びや情報の粒度調節の参考にしました。近い分野の先生には細かく分野としての研究のメリットを話し、そうでない先生方には広く社会としてのインパクトを話すようにしました。オンラインならではのズルだと思いますが、「面接中は他の資料やインターネットは見ないでください」みたいな注意書きは無かったのでルール違反ではないと思います。

船井情報科学振興財団

書類は、研究計画と「日本の将来にどう寄与するか?」というもので、特に後者は中島・吉田で聞かれなかったことだったので書き下ろしました。あとは普通です。

面接ですが、7-8人先生方がいらっしゃいました。zoomに入った瞬間にズラッと顔が並んでいてので、脇が湿るのを感じました。内容ですが、大学のランクについて聞かれた時間が多かったです。「この実績と計画だったらハーバードやスタンフォードも行けそうだけど、なぜマクマスターなの?」という主旨のものです。ごもっともな質問で、自分としては志望先の大学の先生がベストマッチであることや将来のキャリアプランなどをお伝えしたのですが結果的にここの説得力の無さが敗因になったように思います。特に船井はアイビー・パブリックアイビークラスの大学にしか学生を送っていないので(参考)、そこから外れる場合は留学志望先に説得力を持たせないと厳しいのかな、という感じです。むしろよく面接に呼んでいただけたな、という気すらします。

倍率は書類で5倍ほど、面接で2-3倍というのが通例らしいです。選考過程がブログに書かれているので、参考にしました(参考)。また、MITやスタンフォードに留学している超優秀な先輩方がブログに書いていることも多いので、そういうのも参考にすると良いかもしれません。

平和中島財団

書類はシンプルで、研究計画一枚です。ただし、手書きです。手書きです。あと、研究実績などを記す欄が無いので、それがアピールポイントだった僕は逆に不利でした(後述)。

面接前に中島記念と吉田育英会から内定が来たので、辞退しました。倍率は15倍ほどのようです(参考)。

JASSO

大変失礼ながら、書類が面倒だなというのが第一印象です。大学の存在証明(ウェブページのスクショ)、どういった大学かの説明(同じくスクショ)など、かなり色々なことを記入しました。大学偽装する輩への対策、という話を聞きましたが、ドデカイ機関ならではの苦労というか、大変なことがあるのかなぁと思いました。

応募資格に必要なTOEFLやIELTSの足切り点が異様に高いので倍率自体は3-4倍ですが、そもそもふるいにかけられている人数が多いのでしょう。

面接の内容は外部に漏洩するなと同意書を書かされたので、ここには書けません。

石井・石橋基金

こちらは慶應義塾大学の学生限定の奨学金です。書類はスタンダードです。倍率などは不明ですが、合格者の大学ランクから推察するに、他の外部財団よりも幾分か通りやすいような気がします。そもそも応募者プールに慶應生しかいないので。

面接は、慶應の先生方がずらちと7人ほど?いらっしゃいました。学部やキャンパスから公平に選ばれている印象を受けました。内容としては留学する理由・海外でなければいけない理由・博士を目指したきっかけ・分野の20年後の展望・神経科学における自分の強みなどを聞かれました。他の面接でも聞かれるような内容ですが、研究内容よりも「ちゃんと将来のこと考えてるのか?」、ひいては「研究者として成功しそうか」みたいなことを見極めようとしている印象がありました。

余談ですが、このときちょうど龍が如くにハマっていたので、面接で「本物のでっかい研究者になりたい」「人生ひと花咲かせたい」というフレーズがふと出てしまったのは少し焦りました。お前は真島吾郎か?

受かったと思う理由

身も蓋も無くて大変申し訳ないのですが、ソリッドな研究計画があったので、大部分がGPA・TOEFL・実績・推薦状で決まった気がします。

自分は相当に恵まれた環境でやってきたので、大きなアドバンテージがありました。審査官は分野外のプロ及び役員などのえらいさんなので研究計画以外の部分を重視せざるを得ない状況だと推測します。「こいつに投資して失敗しないか?ちゃんと研究してくれそうか?」を手っ取り早く見れる指標としてドライな数字が注目されるんだと思います。

それでも、申請書作りにあたって意識したことはいくつかあるのでまとめておきます。

また、自慢っぽくてイヤなのですが、どれくらいの実力でどれくらいの結果を残せるのか知りたい、という声をいただいたので、記事の最後に自分のデータをこっそりと載せておきます。

意識したこと

志望理由の具体性

次に、留学生に投資する側として気になるのは「なぜ留学するのか?」というところです。どれだけ将来のキャリアを見据えているのか&それが見えているのか、言葉に説得力があるのか、みたいなところが大事な気がします。

実際に学会や諸先輩方を見て感じたことを、エピソード交えて書くと説得力が増す気がします。おべっかはバレる気がします、ライブ感が大事。実際にとある面接で「学会に参加してみてコネの重要さを知った、コミュニティの中心に入ることはめちゃくちゃ大事」「指導先のメンターがいい弟子をめっちゃ輩出してる」みたいな話を具体的なエピソード交えて話したら評価されました。

他分野への伝わりやすさ

まず、申請書を読むのは殆どが専門外の研究者なはずです。分野外の方達に如何に研究のインパクトを分かりやすく伝えるかがミソだと思います。そのため、(手書き申請書以外)図は必ず挿入しました。殆どの研究計画に図を2枚挿入しています。その上で、太字部分を追えば全体像が分かるように(one message per paragraph、そのメッセージを強調する)構成を組んだり、不必要に難しい単語を使わないようにしました。勿論最低限必要な専門用語は入れましたが、そもそも概念が専門的だったりするので、「頭の良い素人」に伝わることをとにかく心がけました。ここら辺はどんな申請書にも通ずることだと思います。

研究計画の実現可能性

これもどの申請書にも伝わることですが、スケールのデカさと実現可能性の両立が一番難しい&肝な気がします。投資したらちゃんと研究進めてくれそうか?進めるイメージが湧く研究計画か?みたいなとこですね。具体的な実験手順を書いたり、次の研究ステップを書いたりするのが大事だと思います。あとはやっぱり伝わりやすさだと思います。専門用語モリモリな実験手順は分からないので、ちょうど良い粒度で書くのが大事だと思います。

現在の研究との一貫性

別にこれは人によるというか、博士でガラッと変わってもいいんですが、個人的にはこれで説得力が増した気がするので追加しました。学部・修士でこういう経験をしたから博士ではこういう経験をしたいんだ!だから海外に行かないといけないんだ!みたいな接続があると博士D進する説得力が増すと思います。もし分野が変わるなら、他の方法で説得力を増した方が強い申請書になるんではないでしょうか。

こんなところでしょうか。もし質問があれば遠慮なくTwitterやメールでご連絡ください。

自分のデータ(参考)

GPA:学部3.86(3年早期卒業)、修士3.71

TOEFL iBT:111

研究実績(出願時点):国際proceedings 1件・国内学会誌2件・学会ポスター7件・学会口頭発表5件・招待講演1件・受賞6件・研究インターン3件(NTT CS研・東大IRCN・ソニーCSL、うち2件有給)

推薦状:書き方を熟知&坂本をよく知っていただいている先生による強力なもの